
病院を転々として2年が経った20歳。テレビを点ければ成人式のCMばかりの季節。
我が家ではTVをリアルタイムに観る事がタブーになった。
この頃のボクは既に両足も麻痺していて、稼働できたのは上半身だけ。内臓も半分稼働してなくて、外出できる状態ではなかったから、成人式は一切の不参加だった。
今だから言えるが、本音いうとボクは成人式に興味なかった。だから会場に行けないことも写真撮影だけすらもできないことは、全く気にしてなかったのだけど、両親は違ったみたいで、兄同様に成人式を盛大に着飾って祝いたかったのだろう。でもそれは叶えられそうもない悔しい気持ちが苛立ちに繋がったのかもしれない。TVで成人式が流れると、「アイツの事を考えろ」と父が起こってTVを消す。TVの内容は母のせいではない。でもそんな些細な事ですらケンカになってしまうほど、家の中はピリピリの極限状態に達していた。
ボクの勝手な解釈だけど、成人式は子の成人を祝う日でもあると同時に、親の卒業式でもあると思っている。
育児とは簡単な事ではない。母親にとっては、妊娠した時から育児が始まっている。10月10日もお腹の中で1つの生命を育てて、母子ともに命がけで出産をする。
安心するのも束の間で、母体の中で守られていた小さな生命が世に馴染もうと変化していくのだから色んな事が起こる。
何がどうした?と日々奮闘しながら沢山頭を使って子を導いていくのだから、体力も脳稼働も半端なく大変なことだと思う。それを20年も続けてきたのだから親には頭が上がらない。だから成人式とは、親の「20年間ありがとうございました。」という卒業式だとボクは思っている。
そんな両親から、不慮の事故とはいえ平和な日常を奪ったのはボク。
成人式の日の夜は、「親不孝者でごめんなさい」という気持ちで涙が止まらなかった。