人間の体は不思議なもので、感覚が鈍くても動くといった機能は死んではいない。
ボクの足は恐らく、17歳で手術した後から麻痺が発症するまでの2年間、いやその後の期間も入れると約3年くらいは、感覚が鈍かったけれど動いていた。
つまり、最初に触感が奪われ、触感が奪われたことで脳との伝達が途切れた。途切れたから次第に脳にあるパーツリストから右足が削除され、結果、動が奪われたのだろう。
右足に始まり、左足・右手・聴覚・視覚と徐々徐々に数年かけて、”わけのわからないなにか”がボクの機能を奪っていった。
人間の体とはホントに不思議で、複雑構成が故に繊細で、そこに住む内臓たちはストライキを起こすにしても文句を言うにしても、塵積ってから爆発する悪魔の顔をもっているんだなと、麻痺をきっかけにボク身を以て学んだ。